水没した世界で心の旅を描く『ファー:チェンジング タイド』

数々の受賞歴がある前作『FAR: Lone Sails』のクリエイターが贈る、もう一つの忘れられない旅路。後継作である『ファー:チェンジング タイド』は水没後の世界を美しく表現し、細部まで作り込まれた広大な海を探索していく、瞑想的な船旅をする物語だ。水没した世界で新たな故郷を探す旅に出よう。

前作からがらっと舞台が変わった水没後の世界

前作では海が干上がり乾燥した世界を、帆のついた乗り物でひとり走行して行く物語だったが、本作は水没した世界を船で進んでいく物語だ。プレイヤーは主人公「Toe」となり、荒涼とした海岸線や寂しげな入り江など、かつての生活の後をたどりながら進んでいく。ひとりで帆を張り、船が通れるように道を開けたり、燃料を補給したりしながら、細かく美しく作り込まれた魅惑的な世界を進んでいく。

静かに語られる世界観

様々な生活の痕跡をたどる為に、かつて家だった場所などに船を進めていかなければならない。障害物や建物などにある謎やギミックを解いて船を進めていくのだ。本作はテキストなどの説明がない為に、周りの状況などをよく観察して謎を解いていくことになる。ストーリーテキストやセリフがなくとも、世界観の雰囲気を存分に入り込める雰囲気づくりが細かく設計されている。謎解きはもとより「Toe」のひとり船旅がどういうもので、何を思いながら進むのかを想像しながらプレイすることができる。

ひとりでの操舵はやることが多い

自然の中を行く旅。急ぐ旅ではないが、ひとりで操舵している為にやることは意外と多い。障害物をくぐるときには帆をしまい、ボイラーを焚き、燃料を確保、障害物や入り江では船が通れるように様々な仕掛けを動かすなどなど……、やることはとてもとても多いのだ。帆に風を受けながら進むだけの風景ソフトではない。波が荒れる事もあるし、凪になってしまう事もある。それらを必死になって解決し船が進んだときの感動。新たな場所へ来た時の風景から感じるものに、心が揺さぶられるのだ。

全体的に「静」の印象を受ける作品で、その空気感に癒されるのではないだろうか。しかし空気感に癒されているだけでは船は進まない。探索をするなど、アクションやアドベンチャーとしての要素もしっかりとあり、気づいたら何時間もプレイしているなんてこともあるかもしれない。それほど世界観に没入できる魅力があるゲームだ。最後に冒頭でも言ったが『ファー:チェンジング タイド』には前作の『FAR: Lone Sails』という作品がある。前作をプレイしていなくても問題はないが、前作をプレイしているとより物語を楽しめる所もあるので、あわせてプレイするのがオススメだ。

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