フロム脳で苦悩する気持ちいいアクションRPG『ELDEN RING』

発売から瞬く間に売上を伸ばし続け、世界累計出荷本数1200万本を突破。文字通り覇権を獲った『ELDEN RING』。「DEMON’S SOUL」から始まり、連綿と引き継がれてきたフロムソフトウェアのアクションゲームの集大成にして、最高峰のゲームと称される今作の魅力を、今回は紹介していこう。

眼前に広がるのは広大な世界

オープンなフィールドといわれる通り、本作は広大フィールドを自由に駆け回れるダンジョン探索の3DアクションRPGだ。従来のソウルシリーズとは違い、自由に動き回りながら冒険を進められるのだ。プレイヤーがチュートリアルを終えて冒険への扉を開いたとき、目前に広がる圧倒的なフィールドの広さに言葉を失うことだろう。輝く巨大な黄金樹の下に広がるフィールドには、探求心を誘う洞窟や滅びた廃墟、かつての戦争で活躍した星を砕く英雄やドラゴンといった強大な敵など様々な要素が待ち構えている。それらはすべてプレイヤーの自由に攻略することができる。プレイヤーは時間を忘れ、広大なフィールドの探索に熱中してしまうだろう。頼もしい相棒の霊馬とともに、重厚なダークファンタジーの世界を思う存分駆け抜けよう。

自身の成長によるとてつもない達成感

フロム作品を語るうえで欠かせない魅力。それは強大な敵に手も足も出ずにやられてしまっても、またやりたい! と思えるところにある。そのためにはプレイヤーに納得する死因を用意することが大切だとフロムソフトウェアの開発者は語る。それは今作にも活かされている。プレイヤーは巨大な隕石に押しつぶされ、魔力の奔流に貫かれ、ドラゴンのブレスに焼かれることになるだろう。しかし、その絶望的なボス達にも弱点はあり、あきらめずに見極めて何度もトライし続ければ必ず倒せる。何度も挑み、自分自身の力でボスの攻撃を見切れるようになっていく。何度もやられてしまったボスを倒したとき、プレイヤー自身の成長があり、いい夢が見れること請け負いだ。

開発者と他プレイヤーからの挑戦状

ボスに挑むだけではない。ともすれば、プレイヤーの脳細胞を破裂させることが目的なのではないかと思うほど、狙いすました罠の数々もシリーズおなじみの要素だろう。本作もしっかりとフロム脳をフル活用する必要がある。例えば、洞窟などの曲がり角といった死角には、だいたい敵が配置されているし、ちょうどよく引っかかる位置に、即死の落とし穴が配置されていたりもする。何とか抜け出して向かった扉を開けた瞬間、遠距離武器を持つ敵が周りを囲んでいて蜂の巣なんてのは日常茶飯事だ。こういった罠は、一度引っかかってしまえば二度はない、と感じてしまいがちだが、フロムソフトウェアがその隙を見逃すはずもなく、油断していると罠と罠が奇跡的な噛み合い方をし、ピタゴラスイッチのような芸術性を持った死に方を経験することになる。また、プレイヤーはメッセージを他の世界のプレイヤーに向けて設置して配信することができる「キノコがあるぞ」「炎が有効」などだ。しかし中には当然だが嘘メッセージを残すプレイヤーもいる。崖で「ジャンプが有効」などは間違いなく転落するだろう。プレイの手助けになるメッセージや本当に隠し通路があるのでは?と、プレイヤーは疑心暗鬼にもなる。そうなりながら、血痕だらけで真っ赤に染まった道をやっとの思いで踏破するのだ。なんとか目的の場所にたどり着けた時の達成感は、それだけで涙してしまいそうになるものだろう。

ソロでもマルチプレイでも仲間と共に

本作はマルチプレイにも対応している。自分や相手の世界でみんなで情報交換をしながら強敵に一緒に挑むもよし、ソロプレイでじっくり冒険をするもよし。しかしソロプレイで強敵になかなか勝てないこともある。マルチプレイは怖いけど一人でマルチプレイの気分を味わいたいという人もいるだろう。今作では「遺灰」というアイテムが導入されている。これは遺灰によって様々なモンスターや分身など多種多様な霊を召喚する事ができる。遺灰によって戦闘のスタイルも変わっていて、プレイヤーのデコイとなってくれるものや、逆にプレイヤーを差し置いてボスを倒してしまったりと戦い方も千差万別である。数十種類にも及ぶ遺灰を集めることで、ソロプレイであっても、状況に合わせて様々な連携で楽しいものになることだろう。

『ELDEN RING』はフロムソフトウェアの傑作と呼ぶにふさわしい。オープンなフィールドに美しい風景はもちろんのこと、殺意の高いダンジョンや連携の取れた巧妙な罠。絶望を感じる強敵も他のシリーズに比べて格段に多い。これらを遊び尽くすには二、三日徹夜した程度では足りない。筆者もプレイ時間は200時間を超えているのだが、まだまだ遊び足りなく、この記事では紹介しきれないこともたくさんある。歴代の「死にゲー」の要素を引き継ぎつつも、ジャンルの敷居を楽しめるまでに昇華し、なおかつ既存のゲームを圧倒するようなボリュームを誇る今作は傑作として十分なゲームだ。興味が少しでもある方は、是非購入してみてほしい。今後数年はこのゲームに心が奪われてしまうほどだ。

©BANDAI NAMCO Entertainment Inc. / ©2022 FromSoftware, Inc.

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ELDEN RING

タイトル: ELDEN RING
ジャンル: アクション, RPG
開発元: FromSoftware Inc.
パブリッシャー: FromSoftware Inc., BANDAI NAMCO Entertainment
リリース日: 2022年2月25日