モンスターパニックの”怪物側”となって人間を蹂躙しよう! 『CARRION』

怪物が暴れまわるモンスターパニック映画を見ていて、ふと、こう考えたことはないだろうか? 「自分もあんな怪物になって、めちゃくちゃに暴れまわれたらなぁ」と。今作はそんな欲求を百点満点以上の満足度で満たしてくれるゲームとなっている。

主人公は触手まみれの実験生物!? 謎の研究所とはいったい

このゲームは一見するとメトロイドヴァニアのようなドット絵スタイルの2D探索型アクションなのだが、何かが違う。まずプレイヤーが目を覚ますと謎のポッドから自身の分身であるプレイキャラが這いずり出てくる。それはミミズやボウフラといった生理的嫌悪感を催す触手たちが集まり塊となった姿をしている。どうやらこの生命体は何らかの研究において生み出されたもので、抜け出してしまったのは研究所側からすればイレギュラーなことらしい。しかし、勝手に生み出された側からすればそんなこと知ったこっちゃない。慌てふためく人間どもをしり目に脱出を目指していくことになる。

人間どもを捕食しろ!! 追い詰める快感

さて、脱出しようにも生まれたばかりの生命体にとってこの世界は広すぎる。自分は無力だった。何か打つ手は無いかと、施設内を徘徊すると研究者を見つける。なんの武装もしていない人間など生命体にとって赤子に等しい。力づくで扉をこじ開け、勢いよく襲い掛かるとあっさりと死んでしまった。モンスターの死体の処遇と言えばお約束があるだろう。そう”食べる”こと。そのお約束に則って、生命体はむしゃむしゃと血や臓物をまき散らしながら完食する。すると、触手の量が増えて体も大きくなったようだ。その体をもってして施設内を徘徊すれば、また研究者を見つけ、食らい、成長する。そのサイクルを繰り返すうちに徐々に人間が単なる餌に見えてくる。いつの間にか自分が”怪物側”と同じ思考になっていると気づくだろう。

迷路のような構造に困惑!? 進化する生命体

施設は広大で迷路のような構造になっている。施設内を徘徊していると生命体の体の構造では押せないボタンが出てくる。「これを押すにはどうすればいいんだ?」という疑問を残したまま別の道を進んでいくと、スタート時に生命体が入っていたものと同じようなポッドを発見。中にあったのはクモのDNA。これを取り込むとクモの巣でできた弾を放てるようになったのだ。もしやと思い、先ほどのボタンに放つと……見事に押すことができた! つまり、探索型アクションのお約束でもある『特殊能力を探して、新たなるエリアを探索する』というものは、施設内に点在するモンスターのDNAを吸収して進化という『モンスターパニックらしい』ものになっている。パズルのようなエリアを攻略するためにもDNA集めは必須なのだ。

反撃!?人間も黙っているだけじゃない!!

力づくで施設を壊し、見かけた人間は片っ端から食べていく。もはやだれにも生命体は止められない、……と思われていた。いつものように発見した人間を捕食しようと、ゆっくり迫る。プレイヤーにとってこの瞬間は、好物を後にとっておいて食事をするようなモノだろう。そんなじわじわと高まる高揚を打ち消したのは銃声だった。人間も馬鹿じゃない。ただ、食われるのを待つだけではなく反撃に打って出たということだ。その威力は絶大で、一発の弾丸で人ひとり食べた分の体を失ってしまった。しかし、体が小さくなることは何もデメリットだけではない。狭い通路において、鈍重な大きい体は銃弾の的として最適だった。それが小さくなったことによって、素早くなった動きは銃弾をかいくぐり、あっという間に研究者を殲滅してしまった。徐々に激化する戦闘で、ただ体を大きくすればいいだけではない、というのもこのゲームの奥深いところだ。

 

さて、いかがだっただろうか。『CARRION』はそのインパクトのある設定から、一発ネタゲームと思われるかもしれない。しかし、薄暗い研究所の中を怪物におびえるのではなく、怪物となって生存者を脅かすというのは、他のゲームでは得られない経験を与えてくれるだろう。しかも、それだけではなく、程よい難易度のパズル要素や、手ごわい敵との戦闘。なぜこんな生物が生まれてしまったのかといった、ストーリー要素も楽しめる、非常に満足感の高いものとなっている。クリアするのにかかる時間は約3~5時間といったところ。週末にサクッと遊ぶにはオススメの一本だ!

 

 

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CARRION

タイトル: CARRION
ジャンル: アクション, アドベンチャー, インディー
開発元: Phobia Game Studio
パブリッシャー: Devolver Digital
シリーズ: Devolver Digital
リリース日: 2020年7月23日