例えば、英語の授業の例文に習ったことのない単語があって、それを周りの文章や載っている写真から何とか意味を推測する。大まかに例えると『7 Days to End with You』はそういうゲームだ。ノベルゲームであり、パズルゲームでもある今作は、その行動にやりがいを見出せる方にこそ、このゲームを楽しくプレイできるだろう。

見知らぬ女性と二人三脚の七日間

見知らぬ部屋で目を覚ました主人公。傍らには見守ってくれていたのか、女性が付き添ってくれていた。目を覚ました主人公に、女性は話しかけてくれる。おそらく「おはよう」や「大丈夫？」といったものだろうか。しかし、その言葉の意味を主人公と、我々プレーヤーは理解することができない。何せ主人公は記憶喪失で、見知らぬ女性は、我々も知らない言葉で会話しているからだ。おそらく女性の物であろう家の中を探索しても、そこに書かれてある言語は、女性の言葉と同じで、全く理解できない。主人公が言葉を理解できないことを察した女性は、家の中を探索する主人公に付いてきて、言葉を理解する手助けをしてくれる。そうやって、言葉を翻訳しながら、女性と七日間過ごすのが大まかなストーリーだ。

自分が作りあげる辞書

しかし、ただ言葉を翻訳するといっても、翻訳の経験のない我々からすれば、何をすればいいか分からない八方塞がりだろう。そこで登場するのが、『辞書』機能だ。しかし、辞書と言っても、この本に書かれているのは未知の言語の並びのみ。プレーヤーが探索することで、例えば、「この言葉は何かの物体を指しているいるのかな？」と思えば、その概念を辞書の言葉に書き込むことで、翻訳の手助けをしてくれる。しかも、辞書には言葉に色を付ける機能があるので、詳しく意味が分からなくても、ニュアンスだけ定めておき、後で翻訳の手助けにすることができるのだ。

魅力的なキャラクター

隣に付いてきてくれる女性。このキャラクターだが、”かなり可愛い”。キャラクターデザインもさることながら、主人公の行動すべてに反応を返してくれて、優しい先生のようにすべての行動をサポートしてくれるのだ。これでは惚れないほうが無理というものだ。だからこそ、この女性の言葉が理解できない現状を歯がゆくおもい、翻訳のモチベーションが高まるだろう。

初回プレイ時では、何が何だかわからず、あっという間に七日間を過ごしてしまうだろう。しかし、なんどもプレイを重ねることで、少しずつだが、正確に辞書が埋まっていく達成感が、プレーヤーをこのゲームに没入させるだろう。他のゲームとは一風変わったプレイ体験ができる『7 Days to End with You』、ぜひともプレイしてみてはいかがだろうか？
そうそう、肝心なことを言い忘れていたが、このゲームの価格は定価で500円程度。今のご時世、500円でここまで濃密な体現ができるゲームは中々ないぞ！

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