ドット絵の可愛いキャラクターに騙される、超高難度のパズルゲーム。それが『Nosferatu Lilinor』だ。

可愛いドットイラストに、アイコン化されたキャラクター達がはびこるダンジョン。主人公リリノア嬢をゴールへと導くゲームだ。ただしこのリリノア……相当に弱い。開発者は、可愛いキャラクターが数十回・数百回とやられることについて、どう思っているのだろうか……。

住処を追われた吸血鬼「リリノア」

「リリノア」は辿り着いた遺跡に住み着いている魔物達に力を見せつけて、その遺跡を住処とするため、「立場を分からせてやるわ」とばかりに息巻いて進んでいく。

しかし、とうの本人である『リリノア』はどこをどう誉めても弱い。もう本当に、ょゎぃ。多くの魔物が立ちふさがる中で、その最下級の魔物に1回触れただけでやられてしまうほどだ。そんなギャップも可愛い(?)のだが、一応は吸血鬼なので彼女は何度やられても蘇る。なので、プレイヤーの腕が上達するまでは、住処を追われた少女を（吸血鬼とはいえ）何度も死なせてしまうことになるのだ。なんとも度し難いことだが、彼女に住む家を提供するためにも、心を鬼にしてプレイしよう。そして一刻も早くパターンを覚えて上達してほしい。

試行錯誤のリトライパズル

『Nosferatu Lilinor』のゲーム性は、まるでファミコン時代を思わせるような作りだ。内容としては『ソロモンの鍵』のオマージュのようなゲーム。2Dドットのゆったりしたアクションに、自分で蝙蝠を出し足場などを設置しながら進んでいく。各ステージでのクリア条件は、時間制限内にゲートに到達すればクリアなのだが、高難度を謳っているように、そう甘くはない。敵の攻撃は激しいのに、操作キャラクターの動きはゆったり（優雅？）しているので、針の穴に糸を通すような繊細なプレイが要求されるのだ。また、敵の行動の全てはパターン化されているにもかかわらず、複数体の動きが絡み合うことで、導線とタイミングがとても限られてくる。まさに「パズル要素の強いアクションゲーム」といったところだろう。可愛い見た目とは裏腹に、非常に硬派なゲーム性は、正直プレイする人を選ぶ。だが、ハマる人にはとことんハマるものとなっている。

ほんとうに吸血鬼だったんだ……

プレイすると実感するが、このゲームは実際かなり難しい。ある程度アクションゲームが得意な人でも、普通にプレイしているだけでは、いたずらにリリノアの死亡回数を増やしてしまうだけだろう。そこでプレイヤーを助けてくれるのが、ブラッドポイントを使って行使できる3つの技だ。最大5つまで溜められるゲージのうち、1つを消費すると、その場で敵や弾幕をすり抜けられる「霧」になれる。2つ消費で「蝙蝠に変身」して一定時間だけ空を飛び回る。そしてゲージを3つ消費すると、従者である狼「ザシャ」を直線上に走らせ、その軌跡の敵を消滅させることができる。実に吸血鬼らしい技だ。このゲームでは、いかに雑魚敵といえども、倒すことはできずに気絶させることしかできない。そんな中、特にザシャとの連携技はとても強力だ。このブラッドポイントは、敵を吸血して回復することができる。だがリリノアは小食だ。そのためステージにつき1度しか吸血できない。しかも骸骨など血の通わない敵では当然吸えない。技の使いすぎでジリ貧になってしまわないよう、使うタイミングを見極めて使っていこう。

待ち受けるつよつよボスたち

各エリアには8つのステージが用意されていて、その最後の8ステージ目にはボスが登場する。通常のステージでは、敵の攻撃を躱す逃げのプレイがメインだったが、ボス戦においては一転し、明確に攻めのプレイを要求される。リリノアとボスの一騎打ちのバトルだ。急にアクション性が高くなったなぁという印象もあるが、やることは変わらない。敵の攻撃を避けて蝙蝠を出してショット攻撃をするだけだ。ボスの体力を削りきらなくてはいけないので蝙蝠の足場を巧みに駆使して攻撃を躱し、隙を見て攻撃を加えていこう。ゲージ技なども惜しみなく使っていき、ミノタウロスやハーピーといったボスたちを屈服させ、だれがこの遺跡の主にふさわしいのかを思い知らせてやるのだ。……お、思い知らせるのだ！

『Nosferatu Lilinor』は、ゆにクリエイトの吸血鬼Youtuber「赤月ゆに」ともコラボしている。「赤月ゆに」スキンでもプレイできるので、ファンの人にも是非遊んでほしい。『Nosferatu Lilinor』は2Dドットの可愛いキャラクターとは裏腹に、やられることを前提としたゲーム難易度の死にゲーだ。もう1回！とかやっているうちに必然的にプレイ時間も長くなる（その分満足行くまでリリノアを愛でることができるだろうが）。途中でイライラしながらも、パズルを組み立てるように、攻略の道順を試行錯誤、ボスの行動パターンを覚えて完封したときの晴れやかさは言葉にできない。とても攻略しがいのあるゲームだ。可愛いキャラクターを操作して遊びたい方は、一度手にとってみてはいかがだろうか。ちなみに、公式が定期的に発表している全クリア率だが、購入者の4%前後しかないとか。腕に自信がある猛者は、世界で4%の人になれるかもだ！

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