『KINGDOM of the DEAD』は、2022年2月に発売された、印象的なビジュアルが特徴のホラーFPSだ。主人公は喋る剣を相棒に、邪神が行使する死者の軍勢をなぎ倒していく。
ホラーとしての雰囲気を残しながらも、シューターとしての爽快感もある遊びやすいゲームだ。血と硝煙の薫りが立ち込める戦場から、このゲームの魅力をお届けしよう。
戦後の血なまぐさい世界観
今作の最大の特徴は、何と言っても他にない印象的なそのビジュアルだろう。インクとペンで描かれたようなモノクロームの世界は、闇の深さが強調され、仄暗くダークな雰囲気が滲み出ている。漫画のベタチックな漆黒に、点々と街頭が照らす街並み、そこに飛び散る血の鮮烈さは、闇や血液に対する人間の根源的な恐怖に触れてくる。古き良き90年代のゲームのようなプレイ感もストーリーや世界観に絡み合うようで実に良い。肝心のストーリーだが、舞台は19世紀のアメリカ合衆国。戦争後、両陣営の犠牲者の血によって邪神「デス」の力が強まってしまった。「デス」は「GATE(死者の門)」から地上に死者の軍勢を送り込み、侵略を開始するのだ。教授から陸軍大将に転身した主人公は、「デス」の軍勢を防ぐ秘密結社「GATEKEEPER」のエージェントとして、その闘争に身を投じることとなる――というもの。実は合衆国史上、最も犠牲者数の多かった戦争が、南北戦争だった。そんな死者の軍勢に立ち向かっていく主人公の名は「チェンバレン」。『KINGDOM of the DEAD』は、あの戦争を抜きにして語れない物語だ。喋る剣を相棒に、死者が跋扈する暗闇の世界へ繰り出そう。
地獄への帰り道はヘッドショットで
しかし恐怖しているだけでは終わらない。闇から目を光らせて迫る死者の群衆を迎え打つのは、人間の叡智の結晶である、銃器やダイナマイトだ。リボルバーや、ボルトアクション式のライフルと言った雰囲気抜群のレトロな武器で、ゾンビ共の顔面に鉛玉を喰らわせてやろう。ただ、ゾンビもヤワではない。胴体を撃っても弾が持っていかれるだけだ。しかしヘッドショットを決めれば、1、2発で倒すことができる。ゾンビは基本的に目を光らせている。光っている目を狙い撃ちすることでヘッドショットを決められるというわけだ。ヘッドショットが成功した時には、チェンバレンはお得意のガンスピンアクションも決めてくれるぞ。レバーアクションライフルではスピンコックのアクションも決めてくれるのだ。それが何とも気持ちいい。なので、積極的に光っている的めがけてヘッドショットをぜひ狙っていこう。ゾンビの群衆相手に、連続でヘッドショットを決める気持ちよさは格別だ。色のないモノクロの世界を、死者の血で塗り潰し、奴らを地獄に叩き返してやろう。
門の「鍵(KEY)」になるのは相棒
『KINGDOM of the DEAD』はデスクから始まる。秘密結社らしく依頼人と顔を合わせないように、ミッションの通達はドア越しに行われる。ミッションの内容に応じて、そこから各ステージに出立する形になる。各マップの最終地点にはゾンビの発生源となるものが存在しているので、そこまでの道中を守る巨大なワームやコウモリを倒しながら、最奥を目指していこう。ボス戦ともなると、ホラー要素は鳴りを潜め、ジャンルは完全にガンアクションゲームとなる。制限されたマップを走り回りながら、ボスが呼び出す雑魚をダイナマイトで蹴散らし、隙を突いてボスにダメージを与えていこう。そのステージ最後のボスを倒すと、地獄と通じる門に「GATE(死者の門)」を発生させている頭蓋骨がある。皮肉屋な相棒(剣)をその頭蓋骨に突き立ててやれば、見事ミッションコンプリートだ。そうして次々とミッションをこなしていき、最後に待ち受けるものまで辿り着くのだ。
『KINGDOM of the DEAD』は、レトロインスパイア系のFPSとしては、かなりスタイリッシュな作りだ。元ネタになった国は違うが、某ヘル●ングやベル●ルクを想起するユーザーも多いのではないだろうか? 特徴的なグラフィックは世界観の表れでもあるが、同時にストレスになりやすい。白黒の画面が目にキツイと感じる人は、プレイ画面のカラー設定で調整することをおすすめする。それでは血と硝煙の薫る見敵必殺の旅路へ、いかがだろうか?
KINGDOM of the DEAD
ジャンル: アクション, アドベンチャー, インディー
開発元: DIRIGO GAMES
パブリッシャー: HOOK
リリース日: 2022年2月11日