リズム×シューティングの革新的体験、それが今回紹介する『Aaero』だ。デベロッパーはイギリスのリーミントンスパに拠点を置く『Mad Fellows』。クリエイティブ・ディレクター Paul Norris氏と、テクニカル・ディレクター Dan Horbury氏による2名のチームだ。

『Aaero』をプレイしてみると「Rez（2001年）」インスパイアのゲームかな、と感じる。が、「Game*Spark」でのPaul氏のインタビューによると「ギタルマン（2001年）」をインスパイアしたとのこと。しかし、「Rezライクのリズムゲーム」というと、往年のゲーマーが聞けば「どういうこと？」という頭になってしまうに違いない。ラインシューティングとリズムゲームをシームレスに掛け合わせた、『Aaero』という挑戦的なリズムゲームの話をしよう。

革新的リズムゲーム体験

驚くべき疾走感とスタイリッシュな空間、そのうえ「Emo」なリズムに乗れる。結論からいうと、『Aaero』はそういう体験だ。このゲームはこの3要素が織りなす、まったく新しい「リズムゲー」だ。PVを見ると、「え、これって音ゲーなの？」と思うかも知れない。だが実際にプレイしてみると、白いリボンに沿って飛ぶ、障害物を避ける、敵をロックオンして撃墜する、という一連の動作が「カッチリ」音楽にハマっているのだ！左スティックで「リズムゲーム」を、右スティックで「シューティングゲーム」を、両耳で「音楽」を楽しむ『Aaero』。これはまさに、革新的なリズムゲーム体験だ。

ツインスティックSTGがいつの間にか音ゲーに

『Aaero』をプレイするには、別途コントローラーが必要だ。筆者はXbox Oneコントローラーでプレイしている。操作方法だが、まず、左アナログスティックで自機を動かす。ステージ上に表れる白いリボン状の光に沿うように、グルグルと機体を動かそう。うまく白い光に乗れるとスコアとライフを稼げる。ライフを稼ぐと途中でギミックに追突してもリカバリーが効くので、積極的に稼いでいこう。

次に、右スティックで敵を倒す。右スティックを動かすと、白い照準が画面に現れる。ステージの途中では敵が数体から数十体出現する。敵の攻撃は基本的に避けられないので、倒さなければならない。そこで右スティックを使って敵に照準を合わせると、ロックオンできる。敵をロックオンした状態でRTボタンで発射し、敵に全弾命中させよう。左手と右手に別々の脳を搭載する必要があるプレイングだが、慣れてくるとたまらなく気持ちが良くなってくる。何が気持ちいいのか？それは、左手の音ゲー要素はもちろん、右手の撃墜音も「音ゲー」の一部だと気づいた瞬間だ。STG要素に音ゲー?? と思うかも知れない。しかしビートに合わせてショットを撃つ『ジャストショット』は、威力も弾速も通常のショット比べるとアップする。そのショット音も、撃墜音も、音楽にベストマッチしているのだ。操作感は非常に直観的だが、ハマると抜け出せないプレイ感が、そこにある。

贅沢すぎるベース曲の数々

是非とも味わってもらいたいのが、『Aaero』に収録されている曲の数々だ。ダブステップやドラムンベース、ブレイクビーツなどのベース曲（そして時々アンビエント）を中心に揃えたサウンドは、筆者のようなD&B信者にとっては垂涎もの。メンバーも豪華で、ドラムンベースの人気ユニット「Noisia」、ダブステップの先駆者の1人といっても過言ではない「Flux Pavilion」、ダブステップの歌姫「Katy B」、ドラムンベース界のトップアーティスト「The Prototypes」、ドラムン好きならマストな「Neosignal」など、最高にCOOLなEDMが堪能できる。ベースの利いたサウンドに、メカニカルなヴィジュアルかつ直観的な操作が加わることで、目と耳ならず、体全体で音楽とプレイを味わえる、実に楽しい音楽体験だ。

『Aaero』は、ツインスティックシューティングとリズムゲームを違和感なく融合させ、両者のいいとこどりをした革新的なゲーム体験だ。面白くないわけがない。この「音ゲー」は、他の音ゲーでは類を見ないほどの、曲をマスターした時の達成感と「ゾーン」をもたらしてくれる。D&B好きな人はもちろん『Aaero』を買うべきだし、そうでなくともドラムンベースやダブステップのCOOLさを、こんなにもド直球に感じられる音ゲーは他にない。このゲームは、今まで味わったことがない爽快感とリズムゲームアクションの可能性を示してくれる。

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