形式やカロリーにとらわれず幸福に肉を焼く! 『焼肉シミュレーター』

シミュレーションゲーム多しと言えど、リリースから流星のように大ヒットしたインディーのシムゲーといえば、最近だとコレじゃないだろうか。『焼肉シミュレーター』。何をするゲームなのか尋ねるのも無粋というほどのシンプルさ。こういうのでいいんだよ、こういうので。初配信から14日間という異例の早さでチャンネル登録者数100万人超えとなった「壱百満天原サロメ」さんの100万記念配信タイトルにも取り上げられるなど、You Tuber & VTuber界隈で賑わいを見せ続けている「食べ続ける焼肉シミュレーション」、『焼肉シミュレーター』を味わってみよう。

うん うまそうな肉だ いかにも焼肉ってゲームだ

「牛肉を食べる」という行為は人に幸福をもたらすものだ、とされている。セロトニンという幸福物質とアナンダマイドという至福物質が脳内をめぐる相乗効果により幸福を感じるという。だとするとパブロフの犬よろしく「肉を焼く」という行為そのものが即ち幸福感を得る行動になると言っても過言ではない、のではないか。ならば、肉を焼こう。焼くしかない。『焼肉シミュレーター』は、いかにも焼肉!という行為を追体験し、多幸感を得られるゲームだ。肉の焼けてるライブ感は嫌というほどリアルに再現されているし、咀嚼音も胃袋にガン刺さりする(咀嚼音が嫌いな人は設定でOFFにもできるので安心されたし)。洋服に臭いもつかない上に、口臭も気にならない。実に、焼肉をカジュアルにシミュレーションできるゲームなのだ。あ、焦がした肉は脇にポイしよう。

焼肉レースは製鉄所 プレイヤーはその溶鉱炉のようだ

本作は「チャレンジ」モードと「フリーモード」に分かれている。「チャレンジ」モードはさらに、「スコアチャレンジ」「タイムアタック」「大食いコンボモード」「ハラミマスター」、そして2022年7月21日に追加された「焼肉ブギョウ」の5つに分かれている。焼肉にこれだけのバリエーションがあること自体、筆者は驚きを隠せない。

ハラミマスター

「スコアチャレンジ」は、決められた時間内に「どれだけ肉(クオリティ込み)をたくさん食べることができたか」を競うモード。それに対して「タイムアタック」は決められたスコアに到達するまでに「どれだけの時間を費やしたか」を競うモードだ。追加モードの「大食いコンボモード」は、制限時間内に「決められた肉(タンとかハラミとか)」をどれだけ続けて焼いて食べられるかを競う。このモードでは焼き加減の得点差こそないが、「PERFECT」な焼き加減に仕上げればボーナスを貰える。時間配分に気を配りながら、決められた肉を食してコンボを決めていこう。そして「ハラミマスター」は、決められたハラミを「どれだけ早く美味しそうに」焼き上げて食べるか、そのスコアを競う。ハラミはタンと違って焼き加減判定を目視で確認しにくいので、どれだけハラミと向き合ってきたか、経験と勘がモノを言う。

追加モードの「焼肉ブギョウ」。これは、焼肉を極めしものがチャレンジすべきモードだ。プレイヤーは焼肉を食べることはできないが(最初から喰ってねーよとかいう無粋なのはナシ★)3人の友人を前に、要求された肉を提供しなければならない。早く、かつ正しくリクエストに応えれば、パーフェクトボーナスをもらえ、ハイスコアを目指せる。これはあくまでゲームなので、リクエストにきちんと応えてハイスコアを目指そう。「これはひとり焼肉とはまた違う世界だ……、こういう展開もアリだな……」と思えればしめたもの。(筆者は孤独のグルメ大好きっ子なので肉を要求する友人なんぞお断りだが)

どのモードでも「おいしい焼肉をどれだけ食べ(させ)ることができたか」を競うのが「チャレンジ」モードだ。「大食いコンボモード」以外は、肉の焦げや焼き加減判定は割とシビア。最初の内は数多の肉を犠牲にしてしまうかも知れないが、数をこなして立派な焼肉職人になろう。そして人間火力発電所のように焼肉を食べ続け、頭と空腹の力をフル回転させながらハイスコアに挑むのだ! なーに、どれだけ食べても実質ZEROキロカロリー、その点はご安心いただきたい。3人の友人に関しては、どれだけ太ろうが知ったこっちゃないけどね!

うおォン! プレイヤーはまるで人間火力発電所だ……!

「チャレンジ」モードで「ひとり焼肉って、なんだか忙しいな……。ハハハ……幸せだ……。」と思い始めたら、次は「フリーモード」で遊んでみよう。「フリーモード」は名前の通り、自由に遊べるモード。「チャレンジ」モードと違うところは、時間やスコアのノルマがなく、焼ける肉の種類も多い。ハラミや上カルビなど5種類の肉の中から、好きに焼肉を楽しめる。さらにBボタンでビールまで飲めてしまう至高の盛り合わせ。うーん、たまらん。つまり、プレイヤーは自由勝手気ままに焼肉を楽しめる、というわけだ。時間という枠にとらわれず、肉を「ジュゥッ」っと焼くとき、つかの間、我々は自分勝手になり、自由になる。誰にも邪魔されず、気をつかわず肉を焼くという孤高の行為。この行為、このゲームこそが現代人に平等に与えられた、最高の癒しと言えるのである。

本作は数あるシムゲーの中でも、「肉を焼く」という行為に特化した他に類を見ないシミュレーションゲームだ。配信向けでしょ? かと思いきややってみると不思議とハマり、気がつけばリアルに肉を焼いているところまでが本寸法といったところか。「チャレンジ」でスコアを競っても良し、「フリー」で自分勝手な焼肉を楽しむも良し、ヘッドホンでASMRをキメてからリアル焼肉に奔るも良し。『焼肉シミュレーター』は、どこをとってもおいしいゲームなのである。早く(追加コンテンツで)ご飯来ないかなぁ。焼肉といったら白い飯だろうが。

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焼肉シミュレーター

タイトル: 焼肉シミュレーター
ジャンル: カジュアル, インディー, シミュレーション
開発元: SECRET CHARACTER, Napas Torteeka
パブリッシャー: SECRET CHARACTER, Flyhigh Works
シリーズ: FHWPublishing
リリース日: 2022年6月3日