ファンタジーでお馴染み、回復薬の代名詞である「ポーション」。RPGをやったことのある方ならば、HPの回復などで使ったことがあるであろうこの水薬。では作ったことがある方は、どれほどいるだろうか？注文を受けて、素材を集めて、最適な組み合わせを模索して……。街で売っている約50Gくらいのポーションでさえ、その裏には作り手の並々ならぬ努力が隠れているのだ。

ということで今回は、中世を舞台にしたファンタジーな世界観でありながら、勇者や冒険者などではなく、錬金術師となって街の人の要望を叶えるシミュレーションゲーム『Potion Craft: Alchemist Simulator』を紹介していく。

まずはテラリアとミズクサを少々……

プレイヤーは新米の錬金術師としてポーション作りを始める。素材を大鍋に入れると、調合スタート。しかし新米錬金術師にレシピなんてものはなく、一からの試行錯誤でレシピを作っていかなければならない。その試行錯誤の過程を可視化してくれるのが、背景に映っているマップチャート（以下、マップ）だ。マップに表示されたポーションのアイコンは、材料を入れたり鍋をかき混ぜたりすることによってマップ上を移動し、目的の調合薬を示した目印にまでたどり着くと、ポーションは完成する。入れる薬草の種類や工程によって道筋は変わっていき、最適な材料配分を導き出せば、少ない材料で高品質のポーションを作ることができる。また、水や油といった基材を入れることや、より細かく素材を砕くことによって、マップの状況は変化する。より高品質なポーションを、最適な方法で作れるように試行錯誤すること。それが、このゲームならではの面白いところだ。

自作のポーションは自分で販売しなさい

このゲームの目的は、あくまで顧客のニーズにあったポーションを作ることだ。ただ好きなものを好きなように作るのではなく、要望に合わせて販売することが大切になってくる。作ったポーションが要望に適していれば顧客は買ってくれるし、適していなければ買ってくれない。生活がかかっている錬金術師からすれば、死活問題。なので、あらかじめポーションを研究し、対応の幅を広げることが重要になってくる。焦らなくとも、顧客は完成を待ってくれる。それぞれのニーズに合わせたポーションを作れるよう、じっくりとポーションを研究し、店の評判をあげよう。

頭は低く値段は高く

販売するからにはできるだけ高く買ってもらいたいのは、商売人のジレンマ。そこで、販売時には値段交渉しよう。左右に動く矢印を「金色のエリア」で「値段交渉」ボタンをタイミングよく押していこう。「金色のエリア」は押していくごとに狭くなっていくので注意が必要だ。うまくいけば、交渉前よりも高い値段で買ってもらえる。しかし、失敗してしまえば安く買い叩かれてしまうので、堅実に利益を稼ぐか、値段交渉で単価を上げるかはプレイヤーの商魂次第だ。

中世ファンタジー世界の錬金術師体験

『Potion Craft: Alchemist Simulator』は、時代設定が中世ファンタジーを基にしていることもあり、中世期の写本や医学書にインスパイアされたユニークなグラフィックをしている。黄味が掛かった羊皮紙のような背景に加えて、キャラクターも中世ヨーロッパの絵画を想起させるデザインとなっている。この雰囲気は錬金術というテーマとも噛み合っており、まるで自分が、中世ファンタジー世界の錬金術師になったかのような没入感を感じることができる。小さな頃に黒ずくめの先生が教えてくれたかも知れない魔法薬学を、今その手で作れてしまうのだ。

ポーションの醸造から販売、また経営管理まで行わなければならないシミュレーション『Potion Craft: Alchemist Simulator』。プレイしてみると、錬金術師も意外と現実的な生活をしていたんだなぁと、ぼやけていた「錬金術師」像がはっきりと形作られて、とても身近に感じることができる。鍋を沸かして乳鉢を擦る、リアルなポーションづくりを通して作ったポーションは、まるで初めて作った料理のような愛着と達成感を感じることだろう。そうすることで、その世界で生活しているかのような実感を得ることができ、作品への没入感も高めてくれる。独特な雰囲気と、ポーション作りという斬新な内容に惹き込まれる人続出の『Potion Craft: Alchemist Simulator』。ゲーマーライフに新たな刺激を求めている方は、この作品を嗜んでみてはいかがだろうか。

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