おバカなユニットによる ぐだぐだ戦争シム『Totally Accurate Battle Simulator』

『Totally Accurate Battle Simulator(以下、TABS)』はスウェーデンのインディー・スタジオ「Landfall Games」が制作した、戦争シミュレーション・ストラテジーゲームだ。戦争シムと聞くと、ゴテゴテのミリタリー系を想像するかも知れないが、『TABS』は一味も二味も違う。同スタジオが制作した「Totaly Accurate~」シリーズをプレイしたことがある人、もしくはリリース日(4月1日)を知ると、勘のいい人は気づくだろう。そう、『TABS』はジョークとパロディーが満載の、笑えるシミュレーションゲームなのだ。さあ、おバカなユニットたちを史上最高のぐだぐだ物理演算で動かす、 あ ほ く さ 戦争シミュレーターの幕開けだ!

……何が起きたの? ぐだぐだユニットで戦争をシミュレート

(このゲームのPVにカルミナ・ブラーナの『O Fortuna』を持ってくるセンスよというツッコミはさておき)本作の基本は、戦争をシミュレートすることだ。「赤壁の戦い」のような複雑な構造ではなく、赤と青の2軍に分かれて兵科を並べて戦わせるというシンプルなもの。UIも分かりやすく、各所の説明とにらめっこしなければならない面倒臭さはない。しかしながら、このゲームの神髄はシンプルなゲーム性とは別にある。『TABS』の楽しさは、「史上最高に”ぐっだぐだ”な物理演算システム」を基にした「おバカなユニットたち」の「不可解なぐだぐだ戦争」だ。これには百年戦争もびっくり。どこを見ているか分からない「おバカなユニットたち」は、思い通りに動いてくれない。動きも基本的に、わちゃわちゃしている。列整理がないコミケって、こんな感じなんだろうね。つまり何が起こるか分からないのだ。実際シミュレートしても、なぜ勝てたのか分からない上に、なぜ負けたのかも分からない。悲しいけどそれが戦争なのよね。じゃあ追加コンテンツで何とかしちゃおう。そう思ったキミ。とんでもない話である。なんと『TABS』の追加コンテンツは「バグ」なのだ! 詳細は省くが、多分腹筋は●ぬ。ちなみに追加バグコンテンツは無料なので勇士は導入を検討されたし。そんな「ぐだぐだバトル」のカオス感を味わえるのが、『TABS』の醍醐味なのだ。

俺の時間を盗みやがったな! おバカなユニットたちでの遊び方は無限大

『TABS』は、とにかく遊びの幅が広い。例えば、限られたユニットの中から「コスト配分」を考えてステージをクリアしていく「キャンペーン」。このモードには、コストと兵科の配置に頭を悩ませながらステージをクリアするパズルゲーム要素がある。このモードでしか解除できない実績があるので、ひとりで遊ぶ時はまず「キャンペーン」からクリアしていきたい。「キャンペーン」とは逆に、コストをガン無視して自由に戦いをシミュレートできる「サンドボックス」モード。こちらは様々なユニットを自由に配置し、キミだけのオリジナル戦争をクリエイトすることが可能だ。このモードでも特定の条件を満たすと解除される実績があるので、創造力をフル稼働してバトル作成に挑もう。「キャンペーン」でも「サンドボックス」でも、ひとつのユニットを自分で操作して視点をFPS/TPSに切り替えることができる機能がある。主に「キャンペーン」で詰まった時などには、積極的に使っていきたい。そして何より、フレンドと対戦できる「マルチプレイヤー」モード。You Tubeなどでも配信されているが、おバカなユニットたちの動きが読めない分、通話しながらの対戦は爆笑必至だ。その他にも、自分でユニットやファンクションを自由に作れる「カスタム」モードがある。以上を見ていくと、それぞれのモードに想像意欲を掻き立てると気づくはずだ。そう。飽きたら次、飽きたら次、を繰り返していくと、「さては無限に遊べてしまうのでは?」と気づいた時には時すでに遅し。大切な休日の時間が『TABS』に奪われてしまったことを悟るのだ。

こいつもあるのか! 万国(珍)兵器&戦場博覧会

本作には14のグループに沿った130種類以上のユニットがある。例えば、原始時代を想定したこん棒を振り回す兵やマンモスだったり、ヴァイキングを想定した頭突き集団や大きい船だったり、なんか聖地にいそうな集まりだったり、なんか闇の軍団だったり、色々いる。マップも同様、20のマップと22の追加「シミュレーション」マップがある。他にも、各マップ上に隠れている50種類以上におよぶ「シークレットユニット」捜しや(まぁだいたい何でそんなところにいるのよって感じの所に隠れてたりするわけだが)、隠しマップのアンロックもできる。このように色々な軍団やマップを使って、色々な状況で戦争をシミュレートできる。たとえば風船弓兵でマンモスを空に飛ばしたり、こん棒兵100体とマンモス20体を戦わせたり、ヴァンパイアの一騎討ちで勝ち負けの判定の是非を問うたり、聖なるユニット(Good)VS 悪のユニット(Evil)はどちらが強いのか検証したり、――楽しみ方は無限大。筆者はルネサンスが大好きなのでダ・ヴィンチの戦車が使えると知って感動したし、しばらくダ・ヴィンチ戦車 VS ダ・ヴィンチ戦車で遊んで笑い転げた。そんな感じで、ぐだぐだでおバカなユニットを使って、史上最高のあほくさ戦争をクリエイトして大笑いしよう。

『TABS』で、あほくさ戦争を考えるのは楽しい。一人でも楽しいし、二人で悪ノリするのはもっと楽しい。その楽しさの秘訣は、おバカなぐだぐだユニットやぐだぐだ物理演算にあるのはもちろんのこと、プレイヤーの自由な発想を前提にゲームが作られているところにある。そう、『TABS』はクリエイティブなゲームなのだ。強さやステージクリア、効率という”しがらみ”から解き放たれて、自由な創造の翼を羽ばたかせ『TABS』を楽しんでほしい。創造性の世界へようこそ! クリーク! クリーク! ――諸君、戦争を作るぞ♪

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Totally Accurate Battle Simulator

タイトル: Totally Accurate Battle Simulator
ジャンル: インディー, シミュレーション, ストラテジー
開発元: Landfall
パブリッシャー: Landfall
シリーズ: Landfall
リリース日: 2021年4月2日
早期アクセスリリース日: 2019年4月1日