殺戮と脱出『Dead by Daylight』はどちらに微笑むのか

『Dead by Daylight(以下、DbD)』は、カナダのゲーム会社Behaviour Interactiveが開発した非対称型対戦サバイバルホラーゲームだ。ビデオゲームを中心に紹介する『IGN』は本作に関して「DbDの「競争的なホラーゲーム」という独創的なコンセプトは、非常に異なる2つのプレイスタイルにおいて驚くべきバランスをとり、その両方を魅力的に仕上げている」と高く評価している。シンプルなシステムながら、設定や世界観から様々なプレイヤーの心をつかんで離さない本作の魅力について語ろうと思う。

生きるか死ぬかのハイド&シーク

『DbD』は4人のサバイバー(生存者)が1人のキラー(殺人鬼)から逃げる、4対1のマルチプレイヤーホラーゲームだ。ホラーゲームと謳っている通り、「殺戮場」はホラーゲームやホラー映画に出てきそうなほどに暗く恐ろしい。そこで、サバイバーはキラーと「生きるか死ぬか」のハイド&シークを繰り広げる。

サバイバーはマップに点在する発電機5台を修理し、脱出ゲートを見つけ解放レバーを起動し、「殺戮場」から脱出すれば勝利となる。サバイバーは三人称視点でのプレイとなり、キラーの姿を確認しながら身を隠すなどの行動がとれる。キラーから逃げながら、サバイバー同士で協力して発電機を修理し、脱出を目指そう。

対してキラーは、サバイバー全員を倒すと勝利となる。サバイバーに2回攻撃を当てて瀕死にし、そのサバイバーをマップ中にある肉フックに吊るそう。キラーは一人称視点でプレイすることになるので、見える範囲がとても狭い。しかしキラーには様々な種類がいて、それぞれキラーならではの特殊能力を持っている。視界というデメリットをそれぞれの個性でカバーしながら、サバイバーを確実に追い詰めていこう。

キラーにもサバイバーにも、それぞれ固有の成長システムと習得可能な能力が備わっている。それはプレイヤーの戦略に合わせてカスタマイズできる。相手を出し抜くためには、経験やスキル、環境を理解することが鍵だ。サバイバーで隠れるか、キラーで追うかはプレイヤーの自由。それぞれの立場でプレイできるのも『DbD』の魅力だ。

少しずつ分かる 作り込まれた世界観

キラーがサバイバー生贄としてを吊るすという一連の儀式は「エンティティ」という存在が首魁であり、キラーもサバイバーも「エンティティ」によってゲーム内の世界に捕らえられ、何度も儀式を繰り返しているという設定がある。「エンティティ」の全貌は明らかになっていないが、死神の大鎌や蜘蛛の足のように見える黒い物質を空間に出現させては、吊るされた生贄を串刺しにして連れ去っていくのだ。オファリングのフレーバーによると「エンティティ」は女神だという。キラーたちもまた、好き好んで人を殺している者ばかりではなく、「エンティティ」の拷問の結果、仕方なく儀式に参加している者もいる。――などなど、ゲームを進めていくと様々な背景が見えてくる。このような世界観の作り込みに触れるのも、『DbD』を楽しませてくれるエッセンスの1つだ。

ホラーファン大歓喜のキャラクターたち

筆者はホラーが超苦手なのに割と観ているのだが、『DbD』を知って歓喜に震えた。まずキラーが「フックに吊るす」というシステムは映画『悪魔のいけにえ』のオマージュだ。その他にも「カニバル」は同映画のレザーフェイスを元ネタにしているし(そもそも版権が取れなかった時からオマージュキャラがいたりするし)、「ナイトメア」がフレディなのは明らかだ。そして日本一有名な「怨霊」は山村貞子だし、「エクセキューショナー」に至っては『サイレントヒル』の大人気キャラ三角様!サバイバーにおいても、レオンやジル(バイオハザード)がいることに震えたし、タップ刑事(SAW)もいれば、浅川陽一(リング)まで登場しているのはホラーファンにとってはたまらない。もちろん、『DbD』オリジナルのキャラクターたちも負けないくらいに魅力的だ。ちなみに筆者が好きなキャラクターは、性能は度外視して、エクセキューショナーと怨霊、そしてナース(っょぃ)である。

You Tubeやニコニコ動画などで様々なプレイ動画が上がっている本作。キラーでサバイバーたちを駆逐する王道プレイから、サバイバーの協力プレイによってはキラーを追い詰めることもできる本作の楽しみ方は無限大だ。しかもホラーファンにとっては、推しがかなりの確率で参加しているというお墨付き。推しでプレイするもよし、自分のプレイスタイルに合わせたキャラクターでプレイするもよし、身内でわいわいプレイするもよし、野良でチェーンソーをぶん回すもよし。もう梅雨も明けて暑くなる時季だ。今年は酷暑らしい。それなら、地獄のハイド&シークでひんやり過ごすのも乙なものではないだろうか。

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Dead by Daylight

タイトル: Dead by Daylight
ジャンル: アクション
開発元: Behaviour Interactive Inc.
パブリッシャー: Behaviour Interactive Inc.
リリース日: 2016年6月14日