ピクセルリマスターで蘇る名作『FINAL FANTASY VI』

超有名J.RPGシリーズ「FINAL FANTASY(以下、FF)」シリーズ。その中の『アリア』という「FF」シリーズ第6作目の曲をご存じだろうか? そう、セリスがオペラシーンで歌った曲だ。You Tubeの「スクエア・エニックス」チャンネルで植松伸夫(ドッグイヤー・レコーズ)氏と北瀬佳範(スクエア・エニックス)氏も語っているが、今回の『FFVI』 “ピクセルリマスター”における目玉はオペラシーンだろう。過去にスーパーファミコン(以下、SFC)版やゲームボーイアドバンス(以下、GBA)版などをプレイした人や、「ディシディア」シリーズもしくは「FF XIV」でFFVIの世界観に触れた人はとにかく「アリア」を聴いてほしい。そして、これから「FF」を履修するという人に向けて『FF VI』”ピクセルリマスター”の魅力をお伝えしたい。

新たなグラフィックとサウンドで蘇る――SFC『最後の夢』

『FFVI』のオリジナル版は、1994年に発売された「FF」シリーズ6作目かつSFCでの最終作である。その魅力は、作品を鮮やかに彩る珠玉のBGMたちのほか、ドット絵の最終到達地点と言わしめるグラフィックの美しさと大胆なストーリー展開だ。「FF」シリーズの「シナリオ・グラフィック重視」という方向性の礎を築いた作品とも言える。そんな『FFVI』が、2022年にSteam/スマートフォン版で”ピクセルリマスター”シリーズの殿として蘇った。全てのグラフィックが2Dで鮮やかに表現され、かつての名曲たちも美しくアレンジが加えられた。中でも先にも述べた『アリア』。セリスのオペラシーンは必見中の必見。(評価は分かれるだろうが)オペラシーンにボーカルがつき、情感豊かに仕上がっている。しかも対応している言語、12か国語のボーカルが収録されているというのだから何とも驚きだ。「夢じゃない」――TVCMのキャッチコピーが、胸に沁みる。

スチームパンクの世界観で描く ドラマチックな群像劇

誰もが知る「FF」シリーズ。その第6作『FFVI』は、スチームパンク風の世界を舞台としている。全てを焼き尽くす「魔大戦」という戦争が終わった時、世界から「魔法」が消え去った。千年後、人々は機械の力で世界を復興させるが、そこに、生まれながらに魔導の力を持ったひとりの少女が――……というストーリーだ。それゆえに本作では魔法や召喚獣の存在が珍しく、FF恒例のクリスタルも存在しない。天野喜孝氏によるコンセプトアートには「魔導アーマーに乗るティナ」が描かれており、「幻獣と魔導」と「機械技術」という相反する要素が両立した世界が表現されている。そこで繰り広げられるのは、ティナ、ロック、エドガーほか「メインプレイヤーキャラクター14名全員が主人公」という壮大な群像劇だ。彼らの多くはそれぞれ違った悲しい過去を抱えており、そこから立ち直る様も丁寧に描かれている。彼らは過去を乗り越えて進み、魔法による世界統一を画策するガストラ帝国打倒を目指す。壮大な世界観と、キャラクターの旅路を追うストーリー構成は、多くのユーザーの心をつかんで離さない。

「FF」シリーズの戦闘/戦略の礎

本作の戦闘で要となるのが「魔石」システムだ。「魔石」はとある存在が石化したものであり、魔法が失われた世界という設定での物語や戦闘において重要な役割を果たしている。パーティメンバーは「魔石」を装備して戦闘を重ねることで「魔法習得値」というポイントを得、一定値に達すると特定の魔法を習得する。「魔石」による魔法習得は(一部を除く)全キャラクターが可能だ。「魔石」のほかにも、アクセサリの効果によってアビリティやジョブをカスタマイズできる。これらの点から、キャラクターのカスタマイズ性は高いと言える。このシステムは「FFVII」のマテリアシステムにも続いている。また戦闘面での戦略性だが、ボタン送りでコマンドを入力するキャラクターを選べる「ターンスキップ」の導入で、攻撃の順序やリアルタイムでの戦闘を見越した戦い方ができるようになった。この「ターンスキップ」は後続シリーズに必ず採用されるようになったほか、次の年に発売となった「クロノ・トリガー」においても使われており、『ATB(アクティブタイムバトル)』の礎となった。

『FFVI』は2020年2月29日に放送されたNHK「発表!全ファイナルファンタジー大投票」のシリーズ部門にて「第3位」に選ばれた作品だ。それを抜きにしても、現在まで脈々と続く「FF」の礎を築いた作品として大いに評価されるべき名作だろう。また当時の話になってしまうが、SFC版で発売された『FFVI』の価格は¥11,400だった。Steamでは”ピクセルリマスター”で¥2,200で楽しめる。リアルタイムでプレイできた経験はプライスレスだが、『FFVI』から得る感動もまたお金で買えない価値がある。プレイ時間以上の感動は約束しよう。

ちなみに筆者はケフカが大好きで『妖星乱舞』が大好きだ。NHKでの同番組にて行われたボス&召喚獣部門で「ケフカ」は「FFVII」のセフィロスを抑えて「第2位」を獲っている。第1位がナイツオブラウンドという召喚獣だったことを考えると、敵キャラでは「第1位」なのだ。これだけでも『FFVI』の凄さが分かる。人生で1度、いや何度でもプレイしてほしいゲームである。

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FINAL FANTASY VI

タイトル: FINAL FANTASY VI
ジャンル: RPG
開発元: Square Enix
パブリッシャー: Square Enix
シリーズ: FINAL FANTASY
リリース日: 2022年2月24日