名作再び!! 『Ib』が帰ってきた!

名作と呼ばれるには必ず理由がある。この『Ib』にも名作と言わしめる理由があるのである。その理由の1つが美術館という身近な場所を舞台にしている点である。謎解きのギミックも美術館の展示品に関連したものであったりとコンセプトが一貫しており、アドベンチャーゲームとしてのディティールもこだわり抜かれている。2012年2月にフリーゲームとして公開されると、動画配信サイトでゲーム実況動画が次々と配信され、瞬く間に知名度が上がり、一世を風靡するまでになった。今作は公開10周年を記念してリメイク版としてリリースされたものである。

おいでよイヴ――から始まるストーリー

主人公のイヴが両親と一緒に美術館にゲルテナ展を見に行き、美術品を鑑賞していく中で、突然床に現れた「おいでよイヴ」の文字を見つける所からストーリーが始まる探索ホラー型のアドベンチャーゲームだ。ゲームの構成は、プロローグから8つのステージを経てエンディングという流れになっている。各ステージに入ると、まず現れるのが大量の美術品である。部屋全体を見回すと、小部屋へと続く扉がいくつか見える。美術品は全てゲルテナの作品であり、小部屋の中に設置されたギミック解除のヒントとなっているので必ずチェックしよう。ステージの最後には鍵のかかった扉があり、小部屋の謎を全て解き明かすことで得られる仕組みとなっている。プレイヤーには赤いバラがライフポイントとして与えられ、解除に失敗したりトラップに引っかかったりすると減るが、回復ポイントが設置されていたり、オートセーブ機能も搭載されているので、安心して進めることができる。また、ジャンルとしてはホラーアドベンチャーに分類されているが恐れることはない。ゾンビが出てきたり、画面いっぱいに死体が転がったりといった類のホラーではないからだ。多少大きな効果音が鳴ったり、画面が暗転する程度なのでドキドキしながらも楽しくプレイ可能だと思う。

同行者と一緒に謎解きをしよう!!

ステージを進んで行くと、ギャリーとメアリーという同行者を2人仲間にすることができる。美術品をチェックしていく中で、同行者からヒントを与えられることもあるので、聞き逃さないようにする必要がある。そして、同行者との会話の中には選択肢を与えられるものもある。どの選択肢を選ぶかによってエンディングへの分岐につながるものもあるので、メモを取りながら進めるのも1つの手かもしれない。さらに、特定の条件を満たすことによってエンディングが変わるマルチエンディング制を採用しているため、やりこみ要素満載の内容となっている。

フリーゲーム版をプレイした人でも楽しめるようにリメイク

今作における基本的なゲーム構成はフリー版と変わっていない。しかしながら、大きな変更点が2つある。まずは、ズームモードの追加である。今までは小さくて見にくかった美術品もより大きくなり、鑑賞しやすくなった。次に、会話システムの導入である。フリーゲーム版では同行者の話を聞くだけだったが、リメイク版では会話コマンドを使ってプレイヤーからギャリーとメアリーに話しかけることができるようになった。これにより、ヒントを得るだけではなく雑談も可能となっている。会話コマンドはプレイ中いつでも押すことができるが、ギャリーやメアリーが行動を起こしたり、話しかけてきたタイミングで使用すると、ゲームに関すること以外に個人的な話もしてくれ、親密度が上がるようになっているので積極的に話しかけてみよう。また、フリーゲーム版をプレイし、もう一度プレイしたいと思った人でも楽しめるようにギミックのいくつかが変更されている。難解だった道順がわかりやすくなっていたり、新たな仕掛けがあったりと、より遊びやすくリメイクされているのだ。新しく登場した謎解きに是非とも挑戦してもらいたい。

美術館という身近な場所を舞台にしているからこそ、「これは何だろう?」「ここがヒントになっていたら面白いな」と想像を搔き立てられ、隅々まで探ってみようという気にさせられた。また、展示品を探っていくうちに実際に触れているような感覚にさえ陥ってくる。謎解き部分だけではなく、美術品など細かいところまでこだわっているからこそ実況動画が配信され人気になったのだなと納得できる内容だ。

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Ib

タイトル: Ib
ジャンル: アドベンチャー, インディー
開発元: kouri
パブリッシャー: PLAYISM
シリーズ: PLAYISM
リリース日: 2022年4月11日