「この作品にはイイものが３つ詰まっている。ひとつはゲーム、ひとつは音楽、もうひとつは——『ドラマ』だ。」

なんて映画の紹介みたいなコメントが上がったりするゲーム。それが、『GUILTY GEAR – STRIVE-（以下、GG ST)』だ。それでは、やっぱり今回もカッコよかった人気格闘ゲームシリーズ最新作、『GG ST』を紹介しよう。

OVAさながらに厨二心を熱く滾らせるSFファンタジー・ドラマッ！

『GUILTY GEAR（以下、GG）』には様々なシリーズがあるが、人類と生体兵器「ギア」をめぐる衝突を主に描いている。そして『GG』の醍醐味は「本当に格闘ゲームか？」と思うほどに重厚なストーリーだ。「ギア」と人類がそれぞれの思惑と背景を抱えて様々な陣営に分かれ衝突し、複雑な「SFファンタジー」を紡ぐ。また今回の「ストーリーモード」は４時間半を超える。これはもうOVAと言っても差し支えない。加えて外国語のルビ多用、練りに練られた設定、そして洋画のような小粋なセリフ回し。これは精神年齢14歳の胸に刺さる、確かな「ロマン」が詰まっている。そしてシリーズを通して繋がる「物語（ロマン）」ないし「戯曲（ドラマ）」は、我々のハートに火をつける。そしてその火は、我々を『STRIVE（抗争）』へ駆り立てるのだ！

初心者でも対戦を楽しめる！ 10種類のタイプを使い分けて戦闘に挑めッ！

さて格闘ゲーム初心者や「少しやってみた」ユーザーが一番心配するところは「ギルティギアって空中コンボがエグくて、戦闘の展開が早いゲームなんじゃない？」という点だろう。が、安心してほしい。今回の『STRIVE』にいたっては、戦闘システムが初心者に対してシリーズ１と言っていいほど手厚い。まずキャラクターごとに１０種類の「バトルタイプ」に分かれており、自分の戦闘スタイルに合ったキャラを選べる。そして「カウンター」攻撃が相手に入った際に生じるスロー時間が、コンボをより決めやすくしている。これは『GG』シリーズでは初のシステムで、初心者でも落ちついてカウンターコンボに入れるものだ。また今回の『GG ST』の戦闘では「当てて」「コンボに繋げる」だけで相応のダメージが入る。まさに今から始めるにはうってつけの『GG』なのだ。

設定とクセの濃い魅力的な新キャラクターたちッ！

『GG』シリーズに梅喧と闇慈が戻ってきたことに興奮を隠せない筆者だが、他にも魅力的なキャラを携えて『GG』は新生した。他シリーズにも魅力的なキャラクターは多数いたが（ブリジットとかね）、今回もまた濃いキャラを連れてド派手にキメてくれた。追加有料コンテンツではあるが、まずは魅惑の褐色ワガママボディーとラッシュ技が光る特別警護官「ジオヴァーナ」。そして問答無用の馬鹿力、棺桶（武器）の中身は何だろな？な国防長官「ゴールドルイス」。黒人のヴァンパイア・サムライというトリッキーな設定で登場した「名残雪」。そして何と言っても×印のサングラスがイカした正体不明の二丁拳銃使い「ハッピーケイオス」！ ——と、こちらは新キャラではないが、約15年ぶりに帰ってきた流麗なる死神「テスタメント」！！いずれも個性が光るクセ者揃い。それぞれの戦闘スタイルも特殊なため、闘り甲斐のあるキャラクターと言えるだろう。

まるでハードロックのアルバム？！ガンガン「ノれる」戦闘曲の数々ッ！

そして濃いキャラクターを彩るには、さらに濃いものが必要なわけで。だからと言って格闘ゲームに音楽性を求めるのはナンセンスなんじゃないのかと思われる読者もいるだろう。結論から言うと、そうではない。プロレスの入場曲でアガるように、やはり闘いは音楽でアガる。特に『GG』の音楽はシリーズを通して「HR/HM」ジャンルを貫いており、「メタリカ」「ヴァン・ヘイレン」「ガンズ・アンド・ローゼズ」その他もろもろの系譜に連なる、思わずヘッドバンギングをキメたくなるような攻撃性を孕んだ曲となっている。しかしキャラクターのテーマに合わせて胸に刺さるようなサビが入る。非常にズルい。そんな、往年の「HR/HM」ファンが思わず唸るような戦闘BGMが詰まっている。まさにゲームと一緒に音楽アルバムを買うようなものなのだ。

筆者は特に格闘ゲームが得意だというわけではない。ただ『GG ST』の発売を楽しみにしていたし、現在も楽しんでいる。冒頭でも書いた通りなのだが、……「なんて贅沢なゲームだ！」とプレイするたびに思う。言いたいことは山とあるのだが、これ以上はカッコよくないし、なにより無粋だ。後はもう、言うことはたった1つ。——「Let’s Rock!!」

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