ゲーム史に残る不朽の名作『クロノ・トリガー』

令和になって数年が過ぎたが、平成のゲームで最高の1本とは何だろうか。週刊ファミ通が2019年5月に発刊した増刊号で行われた「平成振り返り特集」。同特集で実施されたゲームファンの心に残った”平成のゲーム 最高の1本”というアンケートで栄えある1位に輝いたのが、このゲームだ。

『クロノ・トリガー』

筆者はアンケートに参加していないが、同じ質問をされたら間違いなく答える。「それは『クロノ・トリガー』だ」と。
今回はゲーム史に残る不朽の名作、『クロノ・トリガー』を紹介する。

お年玉だけでは買えなかったスーファミソフト in 平成

『クロノ・トリガー』は、1995年3月11日に「スクウェア」からスーパーファミコンのソフトとして発売された。発売当時は「スクウェア」と「エニックス」は別会社であり、「ファイナルファンタジー」を手掛けた坂口博信氏と「ドラゴンクエスト」シリーズの堀井雄二氏、同作のキャラデザを担当していた鳥山明氏がタッグを組んで制作にあたった『クロノ・トリガー』は、当時は「ドリームプロジェクト」として大きな話題を呼んだ。ついでに言うと当時は店頭に並んでいなかった上に、1本のソフトが¥10,000近くした。大変だった。これが今、STEAMでは¥2,000もしない。課金したSSRよりも安い。最高じゃないか。

時空を超えて、未来を変える!

「僕らの夢がいま時空を超える。」――と発売当時のCMで流れたとおり、このゲームは時空を超える「タイム・トラベル」系のRPGだ。あるきっかけで自分たちの未来が荒廃していることを知った主人公一行は、その原因となるラスボスを倒す冒険に出る。その道中で現在・過去・未来を行き来するなか、過去が変わることで現在が変わり、現在が変わることで未来が変わっていく。例えば、あるイベントでは砂漠が森に変わる。またあるイベントでは、足を悪くしたキャラクターが歩けるようになる。そうやって「もし、あの時 ~ならば。」という夢を叶えながら、時空を超えて、未来を救うための冒険は進んでいく。

世界そのものが変わるマルチエンディング!

『クロノ・トリガー』の特徴のひとつが、「マルチエンディング」システムだ。このゲームは一度クリアすると「つよくてニューゲーム」という遊び方ができる。言葉の通り、クリアした時の装備・パラメータのままゲームを始められるのだが、それだけではない。何と、いつでもラスボスのところまで行けるのだ。つまり「ストーリーのどのタイミングでラスボスを倒すか」によってエンディングが変わるのだ。エンディングによっては人類が(別の意味で)大変なことになったりもするし、スタッフから制作秘話からを聞けたりもする。エンディングはバッドエンドを含めて14種類。時をかける冒険は、一度クリアしただけでは終わらないのだ。

様々な時空を彩る珠玉の名曲たち!

少々話は脱線するが、メインコンポーザーの光田康典氏は『クロノ・トリガー』で作曲家デビューを果たしたという。しかし俄かには信じられないほど『クロノ・トリガー』には良曲が揃っている。特に「時の回廊」「風の憧憬」「魔王決戦」の3曲はファンの中でも神曲と名高い。「時の回廊」と「風の憧憬」は共にマップ曲で、各時代を色濃く表している。特に「時の回廊」はインドの民族楽器シタールの音色をメインに使用しており、これが不思議な浮遊感とエキゾチックな雰囲気を醸している。もうひとつの「魔王決戦」は戦闘曲だ。メインのメロディーもさながら、負けまいと前に出てくるティンパニの音とのハーモニーは、まさに決戦と言ったところか。他にも紹介したい曲はあるのだが、それは冒険の「楽しみ」にしてほしい。

 

「星はかつて、夢を見た」。これは『クロノ・トリガー』のキャッチコピーのひとつであり、プレイ前とプレイ後でゲームの印象が変わる言葉でもある。記事で紹介した冒険譚として楽しむもよし、ラスボスについて分かれる解釈を考察するも楽しい。それが『クロノ・トリガー』だ。音楽に関しても様々なアレンジ・アルバムが出ているので、探して楽しむのもよいだろう。「楽しみが終わらない」ゲーム。それが『クロノ・トリガー』だ。
そして考察勢には『クロノ・クロス』という世界線が待っているのだが、――それはまた、違う「時」のお話。

 

 

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Illustration: © 1995 BIRD STUDIO / SHUEISHA
Story and Screenplay: © 1995, 2008 ARMOR PROJECT / SQUARE ENIX
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クロノ・トリガー

タイトル: クロノ・トリガー
ジャンル: RPG
開発元: Square Enix
パブリッシャー: Square Enix
リリース日: 2018年2月28日