時間を忘れて遊べる死に覚えゲーム『Celeste』

ストレス社会と言われる現代に生きる我々にとって、忍耐力はもはや必須の能力と言って差し支えないだろう。『Celeste』は可愛いイラストと、テンポのいい音楽のおかげで、『死に覚えゲー』経験者から初心者まで幅広く忍耐力を養うことができる。このゲームをクリアするころには理不尽なミスに怒られてもさざ波一つ立たない強靭な精神力を手に入れていることだろう。

複雑な要素は無し! 簡単操作でアクション初心者も安心

怪しげな秘密を抱える聖山『セレステ山』を舞台に、主人公である『マデリン』が、数々の難関ステージを攻略して、頂上を目指すのが、今作の目的だ。2Dアクションゲームであり、『死に覚えゲー』でもある今作を、初心者にもお勧めできる要素の一つに、操作に必要なアクションが少ないところが挙げられる。必要なアクションは「ジャンプ」、「エアダッシュ」、「のぼる」の三つであり、ほとんどマリオと言って差し支えないだろう。操作が難しいのは嫌だ、と、ゲームを敬遠している方にもおすすめだ。

デスした数は勲章! よく考えられたレベルデザイン

死にゲーと言えば理不尽な要素で難しくしているものも多いのだが、このゲームのレベルデザインはパズルに近く、よく考えられている。つまり、アクションゲームでやりがちなガチャプレイでは絶対にクリアはできないのだ。しっかりとステージのギミックを見極めて、決められた手順を順番通りにこなすことで、カッチリとすべてがハマり攻略できるようになっている。お陰でクリアできたときの達成感は半端ない! いくら死んでも次はこうすればいいのでは?などと試行錯誤しながらプレイをしていると気が付けば予想外の時間が経っていることだろう。

圧倒的没入感! 音楽の力は偉大

筆者は今作を最初にプレイしたとき、6時間休憩をはさむことなく続けていた。それは優秀なレベルデザインも然ることながら、ゲーム音楽にも起因している。なにせこのゲームの音楽はGame Developers Choice Awards「オーディオ部門(Best Audio)」を受賞しており、どれも珠玉と言っていい。その素晴らしい音楽がゲームと合わさった時、なんともいえぬ高揚感が得られるのだ。例えばステージの最初などは難しいギミックなども少ないので、BGMも落ち着いたものになっている。しかしステージが進行していくと、どんどんBGMも盛り上がり、ステージが佳境を迎えた時にクライマックスに至る。プレイヤーは自分が、まるでゲームの中のキャラクターになったかのように錯覚し、それは、忘れられないプレイ体験になる、ゲーム音楽の力は偉大だ!

縁の下の力持ち! 神ローカライズ

この手の海外産のゲームはしばしば日本語訳が雑で、上手く内容に没入できないことが多々ある。しかし、今作は名高き『Undertale』を翻訳した『ハチノヨン』によってローカライズされており、自然に世界観に没頭することができる。その翻訳の精度は凄まじいものであり、細かいニュアンスの違いなども上手く訳されている。中でも筆者が感心したのは、海外のことわざが日本のことわざになっていたことだ。翻訳機に通すだけでは、意味が伝わらなくなってしまう言葉も訳せるというのは、二つの言語を深く理解していないとできない技であり、さすがの『ハチノヨン』クオリティということだろう。

 

今作は『死に覚えゲー』ということで、どんなにハードルを下げる要素があっても手を出しづらい方もいるだろう。しかし、気が向いたときにでもどっしり腰を据えてプレイしてもらえれば、朝に始めれば夜に、夜に始めれば朝になっていることだろう。熱中するだけで、忍耐力も得られる一石二鳥なゲーム『Celeste』、いかがだろうか。

 

 

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Celeste

タイトル: Celeste
ジャンル: アクション, アドベンチャー, インディー
開発元: Extremely OK Games, Ltd.
パブリッシャー: Matt Makes Games Inc.
リリース日: 2018年1月25日